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HIS2008に行ってきました。 (9/1) [学会]

HIS2008に9/1〜9/3まで、参加してきました。
9/1は、ワークショップのみの参加でした。
参加したワークショップは、17:10からの
「看護のナレッジマネジメントと看護用具開発」です。

このワークショップのねらいは、

「現場の実務者の経験を集約し、これを必要としている人々へ届ける媒体としての
ICTの課題を明らかにすること」

でした。

参加人数は、20人弱くらいだったと思います。

オーガナイザの先生方は、下記の通りです。

京都大学 塩瀬隆之氏
慶應義塾大学 西山敏樹氏
大阪府大 看護学部 和田恵美子氏
慶應義塾大学 西山里利氏


慶應義塾大学 西山敏樹氏
ものづくりにおけるコミュニケーション

・一般、障碍者、高齢者、患者、各人々8人くらいかでグループミーティング
・メーカーが情報収集、本当にみんなが何を望んでいるか?
・やり取りするファシリエータが育っていないのでは?
・情報→Webで共有→リテラシーに格差
・情報の蓄積、共有が難しい
・UD(ユニバーサルデザイン)→トップダウン
・ID(インクルーシブデザイン)→ユーザの意見を聞いて積み上げる
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大阪府大 看護学部 和田恵美子氏
患者の語りが生み出すもの-DIPExの持つ力-

・DIPEx イギリスのオックスフォード大学で作られている
 「健康と病いの経験」データベース
・ DIPEx http://www.dipex.org/
・乳癌、前立腺癌、大腸癌、肺癌等の各種癌、高血圧、糖尿病、
 うつ、てんかん、HIV等の42種類の体験の動画
・1つの疾患に35〜50人のインタビュー、全体で、1500人の体験者の語り、
 不安の説明、体験談
・日本では現在、前立腺癌、乳癌のみ (DIPEx-Japan)
・検査の辛さ、医療者はどこまで説明するか?
・落ち込み、どうにか助かりたいと医師にすがるように行くが、話を聞くと返って落ち込む
 どのような話し方、励まし方をするか
・本人が顔を出すために癌保険に入れない、近所の人にわかってしまう、
 家族に話していないリスク
・DIPExのデータをどう増やすか?誰がどのように使うのか?起こりえる問題は?
・インタビュー、Webの維持にお金がかかる
・病んでいる人への気持ち→医療に関わる学生への教育
 (患者への共感性の育み,高い倫理観)
・質保証
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慶應義塾大学 西山里利氏
看護用具・用品開発におけるITを活用した臨床と企業の連携支援
〜NMC-Cube プロジェクトの取り組み〜

・看護用品の、病棟で、個人レベルの改善は難しい
・類似性のあるが製品化しない
・500施設で調査、60%回収、1割が企業を利用
・展示展等で、企業に聞くと現場の声が聞きにくい
・ニーズはあるが、市場の確保ができるか
・ニーズの把握が難しい(企業側)
・臨床-企業-大学の情報共有、共同開発
nwc-cube(患者、Ns、Dr、メイカーの情報共有)
・相互の知の蓄積、アイディアの権利を守る
・生活の充実、ニーズの把握、ケア向上、市場の拡大
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京都大学 塩瀬隆之氏
コミュニケーションデザイン研究からみた情報・知識共有

・技能継承の課題とは?
・組織構造に無理が無いか?→継承者の確保
・ベテランが少なく、新人を教えきれない
・世代不安→最近の若い者は→価値観の違い、文化の違い
・権利帰属→個人の資産か、組織資産か不明瞭、技能が開示されない
・技能寿命→設備の刷新、技能の入れ替え
・誰に伝えるか?
・言葉にしようとしなかった→わざわざ言わなくてもわかる
 西陣織のジャガーという機械
・暗黙知から形式知へ
 ・経験の蓄積がノウハウになっているはず
 ・整理せずに埋没したノウハウ
 ・デジタルデータの妄信→どう使う?
 ・デジカメのデータはあまり見ないのでは?
・SNSの明と暗
 ・大学のSNS:1日100件以上のメールを利用する大学教員はSNSを利用するか?
 ・地域SNS:常駐の何人かが常に更新し、活性
 ・口コミ:来た人がもう一度みたい情報が載っている
・成功事例:富士ゼロックスのEureka
 ・文化人類学者が、就業時間前から就業時間後を調査
          就業時間前のコーヒータイムに情報を書き込んでいる

これらの4つの視点で、
いつ、どこで、誰と共有したいか?

・オフラインか、オンラインか
・SNS、ブログの品質の差、心ない書き込みに心を痛めることある
・ICTは重厚深遠なことばを共有するに足る道具?
 ・闘病ライブラリ
  医療従事者から得られない、家族の体験を共有できる貴重な情報
  感情的で一方通行な記述とされることもあり、医療従事者や
  情報技術者の関心は、決して高くない

4人の先生方の話題提供の後に、会場の参加者も含めた議論
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私が一番心に残ったのは、大阪府大の和田先生のお話。
特に、ワークショップで見せて頂いた患者さんの体験談のムービーは、
病院に7年勤務したことがある私ですが、衝撃的でした。
ここまでの情報を果たして、Webで共有していいのかとも正直思いました。

ワークショップでも少し発言したのですが、
自分がかつて医療従事者として病院に勤務し、患者さんに検査の説明を
していたことがあり、その後、ある疾患で手術をしたことがあります。
その際は、必要な情報をWebでその手術前に調べたことがあり、
まさに当事者になって始めて知った情報、必要としている情報の違い。
今、その経験を持って、病院に勤務したら、説明の仕方も変わると思いました。
医療従事者の経験談は3割だそうです。

ワークショップにもあったお話なのですが、企業、医療の両方が当事者に
なりきれていないということが出て来ていました。
今UIの設計の仕事をしていて思う事は、特に企業いる私にとっても、
ユーザにいかにその立場を理解して近ずくかが、本当に良い物を
作るポイントだということです。
でも医療の現場において、企業側がユーザの立場に近づくには
かなりの努力が必要だと思いました。


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